しばがき

昭和二十年八月、日本が終戦を迎えた年、外地で生活をしていた日本人は故郷へ帰国することになりました。外地で生まれ育った私は翌年父母の故郷へ帰ることになり、親戚の所に落着いたのです。はじめて見る故郷はひなびた温泉町でした。間もなく土地の小学校へ通うようになり、友人も出来た頃、友人の一人が私を山へ「しばかりに行こう」と誘ったのです。その頃はまだご飯を炊くには釜戸に火をつける小さな小枝が必要でした。初めて経験する「しばかり」に私の胸は躍り、早速友人について近くの山に入りました。友人は熊手のようなものでサッサと枯れ枝を手際よくまとめ、どうしていいか分からず突っ立ている私に「手伝ってあげるよ」と私の分までまとめると、私の背に荒縄で背負わせてくれたのです。あまりの手際のよさに茫然としているとニコニコしながら「私は慣れてるから」と山を下りかけたのです、私はその時ほど自分を無力で情けないと思った事はありませんでした。彼女の逞しい生き方は、その後も私の胸の片隅で生き続けています。

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by hiroseyoko2000 | 2007-11-13 17:17 | つれづれ | Comments(1)  

Commented by meiko at 2007-11-15 07:26 x
そうでしたね。私も友達に連れられて「たきもんとり」ー石油缶のかまどの燃料でしたよねー山に行っていました。その都度着物から作った「もんぺ」を破り、「もう行かんでよか」と母に言われたものでした。友人は手馴れたもので集めるのも早いし、それを荒縄でくくるのも上手で…お互い今は懐かしい思い出になってしまいましたね。

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